住宅街の駅、おばさんの経営するお店、政浩は勝手に飲食店を想像し空腹のまま出かけた。駅前にレストランは何軒かあったけど10分くらい歩くと完全に住宅街、飲食店の気配はない。実香がここと示したのは、美容室というか田舎のパーマ屋という風情のお店だった。お店に入ると政浩は、実香におばを紹介され先日は姪が大変お世話になりましたと話しかけられた。
実香は政浩を待合スペースの
椅子に座らせると奥へ入った。
しばらくするとエプロンをつけて
実香が出てきた。
実香はお店のお客たちにお茶の
サービスをしていた。
実香は髪を無料で切ってもらう
代わりにお店の手伝いをしていた。
お茶出しが終わると政浩に元へ
耳元で小声でお待たせしましたと
声を掛け政浩を
シャンプー台へエスコート。
実香に髪をとかれピンクの
クロスを首に巻かれ
失礼しますの一言とともに
実香にシャンプー台に
寝かされて顔にタオルがかかり
何も見えない。
まさか実香が髪を洗うのかと思っていると大きな声でお願いしまーすとアシスタントさんに話かけ、アシスタントの女性が寄ってきて政浩の髪を洗い始めた。何度か美容室でのシャンプーを経験していたが若い異性になすがままに身を委ねるこの姿勢になるのは、少し恥ずかしい。胸元が顔の近くにくるとなんだか興奮する。そうこうしているうちシャンプーが終わり頭にタオルが巻かれ起こされると後ろで髪をふいてくれていたのは、実香だった。
実香は政浩を鏡のある席に座らせるとさっきまで
政浩が洗髪していたシャンプー台へ移動した。
実香の様子をうかがうと
自分自身で顔にタオルを乗せ
両足を揃え手を組んで
シャンプーしてもらう
体勢になった。
実香はぽっちゃり型だけど
下半身はすらっとしていて
ぴんと伸びた足は美しい。
先程まで政浩の髪を洗って
くれていたいた女性が
今度は実香の髪を洗った。
すぐ真横にいる実香が
『あーきもちいい』を連呼している。
こういう思いやりが必要かと
政浩は思ったが、後の祭りだった。
政浩は何度となくひざ掛けの先にある
実香の足元をちらみしていた。
頭にタオルを巻いた実香が
政浩の隣の席に移動してきた
政浩のカットがそろそろ終わる頃。
実香は政浩に『今日はありがとう』
これからパーマで時間がかかるので
先に帰ってと言ってきた。
政浩は本当は実香が
パーマをかけているところを
見たかったが、さすがにこのまま
お店にいるわけにもいかず、
お礼を言ってお店を出た。
実香とデートらしきことを
したのは、後先この1回だけ、
1年くらい後に高速道路の
サービスエリアで仕事中の
実香を遠目に
見かけたが、
話すことはなかった。
これ以降接点は無かった。
10年くらい後政浩は
この地を訪ねたが
お店はなかった。。。
政浩の青春時代の
記憶の一つである。
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